オリーブの木の魅力【基礎知識】
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【知れば知るほど、おもしろい】オリーブの木の魅力【基礎知識】

おしゃれで人気のあるオリーブの木。
庭や玄関先にオリーブの木を植えてあるのを見かけます。

1年中美しいシルバーグリーンの葉をつけてくれる常緑樹のオリーブの木は、シンボルツリーにぴったりです。

このオリーブの木は、初心者でも育てやすいぐらい丈夫な植物であることも人気のひとつですが、
事実、人との関わりがとっても深い
歴史のある植物だというのも魅力的です。

そしてオリーブの果実はピクルスやオリーブオイルに加工され食卓を彩り、
古木はカッティングボードやカトラリーなどのキッチン雑貨などに加工されます。

昔から、色々と利用されてきたことを知れば知るほどに、魅力を感じてしまうオリーブの木。

オリーブの木が欲しい」そう思ってる方に是非知っておいてもらいたい

オリーブの基礎知識をまとめてみました。

オリーブの木|基本情報

    オリーブ
    Olive

  • 学名 : Olea europaea
  • 分類 : モクセイ科オリーブ属 / 常緑高木
  • 原産地 : 小アジア、地中海沿岸
  • 自生地 : 霜の降りない丘陵の斜面

オリーブとは|育てるときの基礎知識

見た目は美しくて、育てやすい植物

オリーブの木は、冬でも緑の葉を残したまま散ることがなく春を迎え、庭に地植えをすれば高さが5メートル以上にもなる常緑性の高木で、モクセイ科オリーブ属に分類される植物です。

オリーブの木の見た目の美しさは、しなやかな淡いシルバーの枝につくスリムな楕円形の葉。
表は光沢のある濃いグリーンで裏はマットなシルバーなのが特徴的でとても魅力的。

風に揺れるとそのコントラストが一層際立ち、遠くから見てもオリーブの木だとすぐにわかるほど。

そして古木になればなるほど幹の表面が荒々しくなり、存在感が増してきます。

オリーブの木は新しい芽を出す力がとても強く生長の早い植物です。

新しい芽を出す力を「萌芽力(ほうがりょく)」といいますが、それが強い性質のため剪定で枯らす事は少ないでしょう。

むしろ適度に剪定をすることによって、新しい枝葉の数が増え花つきや実つきが良くなります。新梢がよく出るため、剪定の時は不安がらなくても大丈夫です。切りすぎて枯してしまうことは滅多にありません。

太陽の光を浴びると良く育つ

オリーブの木は温暖で日光がよく当たる環境で良く生長するので、地植えをするなら

日当たりが良い場所を選ぶようにしましょう

鉢植えで育てる場合も日光がたくさん当たる場所に置いてあげ、天候や季節によって移動してあげるようにしてあげると良いですね。

光がたくさん当たることで枝先から新梢をぐんぐん伸ばし生長します。
枝葉で混み合ったところは、幹にも日光が当たるように枝を整理してあげると新芽が増え、オリーブの木が若返ります。

ある程度の寒さにも耐えられる性質から日本の広い地域で育てることができます。

氷点下がひと冬続くような地域での地植えはできませんが、鉢植えなら育てられます。

寒くなって、霜が降りたり土が凍りそうな季節になったら軒下などに移動してあげれば大丈夫。

マンションやアパートのベランダならできるだけ日光の良く当たるところを選んで鉢を置いてあげるといいですね。
ベランダにお気に入りのガーデンスペースを作っちゃいましょう。

年間を通しての、剪定や施肥などの管理のコツはあるものの、
日当たりが良いところを選ぶのは大切なポイントです

POINT

太陽の光がいっぱい当たるところで育ててあげましょう!

ある程度の水分がないとうまく育たない

オリーブの木が植ってるヨーロッパのイメージは、青い空、青い海、一年中天気が良く雨なんて降らないところ。
そんなイメージがあり、水やりはあまりしなくても育ちそうな気がしますよね?

確かに、オリーブの木は乾燥に強く、水が足りない状態が長く続いても、即座に枯れることは少ないです。

ですが、水分が少ない状態はオリーブの健康上良いことではありません。

年間の降水量が1,000ml程度ないと良好に生育しないといわれています。
地植えの場合と鉢植えの場合では水やりのタイミングが違います。

地植えの場合は、雨が降ったりするので年間を通して水やりの必要はありません。

地植えで水やりが必要なときは、真夏で日照りが何日も続き、地面に地割れができるほど乾燥している状態の時ぐらいでしょう。

一方、鉢植えの場合は意識して水をあげないといけません。植木鉢という限られた土しかない環境ではすぐに乾燥してしまいます。

特にオリーブの実が着いてから夏の間、実が着いてなくても夏の暑い間は朝と夕方の涼しい時間帯に一日2回あげるようにします。そして冬の間も土の渇き具合を確認して水をあげましょう。

POINT

鉢植えで育てる場合は、水やりを忘れずに!

小さな花がたくさん咲く

オリーブの木の花の大きさは3㎜程度でクリーム色。
雄しべの花粉がうっすら黄色で可愛らしい花を咲かせます。

花が咲く部分は、枝の中間あたりの葉の付け根から伸びた軸(花穂(かすい)に10〜30個を房状に咲かせます。

オリーブの花が咲くのは

5月の中旬〜6月の下旬頃。
開花期間は6〜7日間で、咲き始めてから1週間ほどで散ってしまいます。散った後の地面はまるで白い絨毯のようです。

基本的には風により花粉を飛ばして受粉する風媒花(ふうばいか)で、梅雨入り前の初夏の風に花粉を運んでもらいます。そして昆虫による受粉の虫媒花(虫媒花)でもあります。
花の受粉がうまくいくとオリーブの実がなります。
POINT鉢植えの場合は、花を雨に当てないようにする。
濡れると花粉が飛ばないのでうまく受粉してくれません。鉢なら軒下へ移動!
簡単に移動できるのが鉢植えのいいところですね!

雌株と雄株?

樹木によっては、実を着ける雌株と実を着けない雄株があります。
例えば、イチョウなどがあります。

実を着けるのに注意しておきたい事は、「自家不和合性(じかふわごうせい)」または「自家不結実性(じかふけつじつせい)」といって、1本の木だけでは実が成らない性質があるという事。
「オリーブの木は1本では実が成らない。」というのはよく聞く話なのですが間違ってはいません。

これだけを聞くと雌株と雄株があると思ってしまいますが、オリーブの木には雌株、雄株の区別はありません。

前述した通り「自家不和合性」という、同じ品種同士のオリーブの木では受粉できない性質があります。

つまり、実を着けたい木には、その木以外の品種のオリーブの木の花粉で受粉しなければ実が着かないということです。
しかし、品種によってはそのオリーブの木、
1本で実を着けることができる「自家受粉」で結実するオリーブの木もありますので、購入する際は品種を確認しながら選ぶのもいいかもしれませんね。

とは言え、果実の収穫を楽しみにオリーブの木を育てるのであれば、違う品種を一緒に育てた方が結実の確率は良くなりますし、収穫できる果実の量も増えるので複数本を近くに置いて育てる方が良いでしょう。
POINT雌株、雄株の区別はない。
実を着けたいなら別の品種の株を2本以上育てよう!

例えば、ミッションという品種とネバディロブランコという品種を一緒に育てていれば、お互いの花粉で両方ともの木に実が成るわけです。

オリーブの果実

オリーブの木にみのる果実はオリーブオイルの原料として使われるのは皆さんもご存知の通りだと思います。

自分の庭のオリーブの木にたくさん実った果実を収穫することも、育てる楽しみのひとつです。

私も、鉢植えのオリーブの木に初めて実がなったときは嬉しかったのをよく覚えています。

もぎたての果実の味はというと、苦いと言うか渋いと言うか、、、
アクが強くてとてもそのままは食べれません。

果実を食べるのであれば、
アク抜きをするか塩漬け
にしないと食べられません。

自家製の塩漬けオリーブ
いつか挑戦したいものです。

オリーブの実は9月の下旬から12月の下旬までの間に収穫できます。

初秋の頃は全体が濃い緑色の果実ですが、12月の下旬にかけて段々と赤紫から黒っぽく着色していきます。果実の大きさは品種によって差があり、1g未満〜15g以上を小、中、大、特大と分類されていています。形も品種により違いがあり、まん丸に近い形や長い卵形など様々。

塩漬けで食べるのに適していたり、オリーブオイルとして加工するのに適していたりと、その違いを比べてみるのも家でオリーブの木を育てる楽しさです。

果実の加工は、ヨーロッパでは古くからオリーブオイルや塩漬けにされたりと、その土地の食文化には欠かせない植物として人々に愛され大切にされてきました。
そしてやはり、オリーブオイルといえばイタリア料理やスペイン料理を思い浮かべます。今の私たちのイメージ通り、ヨーロッパを代表する木といえばオリーブの木といっても過言では無いと私は思ってます。

1,000種を超える品種がある

世界には何千もの品種があるとされていましたが、オリーブに関する関係機関の調査によると1,617品種が確認されており、今後も精密な調査が行われる予定だそうです。

この品種の多さというのは、オリーブの木の利用価値に人々が注目し、今まで世界中の国々で新しい品種が生まれてきたということです。

現在、日本国内では主要な品種が流通しており、オリーブオイルなどの加工品、庭木や鉢植えなどの鑑賞用に流通しているオリーブの木は栽培用に品種改良を重ねてきた栽培品種です。ヨーロッパを始めとして、アメリカやオーストラリア、などで新品種が登録されています。

なんと、日本でも新品種が登録されたのです。


POINTオリーブの木を家庭で育てたいと考えている方は品種の特徴を参考に選ぶと良いでしょう。
同じように見えるオリーブでも、その特徴や生長の仕方には違いがあります。
育てる環境や用途に合った品種を選ぶと管理がしやすいと思います。

オリーブについてのマメ知識

平和と長寿の象徴

オリーブの木の生命力は強く、寿命がとても長い木です。

南ヨーロッパには樹齢3,000年を超えるオリーブの木があって、いまだに実をつけるそうです。

オリーブの木には「平和」という花言葉がありますが、この花言葉の通り、3,000年続く平和を願ってやみません。

オリーブの歴史

栽培種のオリーブの木は小アジアが起源とされています。そして私たち人間との関わりは古く、

5000~6000年前にアジアの西端、黒海、エーゲ海、地中海に挟まれた地域で原種のオリーブの栽培が始まったと言われています。

紀元前16世紀にギリシャの島々でオリーブの栽培が始まり、紀元前14~12世紀ごろにギリシャ本土で栽培が始まりました。

その後、紀元前4世紀ごろにはギリシャではオリーブ栽培が重要な産業になり、ますますオリーブの木と人との関係が深くなってきました。

そのようなオリーブ栽培の始まりを経て、世界中にオリーブ栽培が広がっていったのです。

日本にオリーブが上陸したのは遡ること安土桃山時代。1,500年代後半にキリスト教伝導のため日本に訪れたポルトガル人が持ち込んだオリーブオイルが最初だという説があります。

織田信長もオリーブオイルを食していたかもしれませんね。

オリーブオイル

オリーブオイルの用途は食用なのが今では当たり前ですが、当時のヨーロッパやアフリカ大陸で栽培され抽出されたオリーブオイルは食用意外にも、純度が低いものは明かりを灯ための燃料油として使われていました。

その昔、オイルを抽出する方法は、袋に入れ、てこの原理で絞り出す方法だったそうです。

例えばナタネ油などの抽出には熱を加える方法があります。
しかし、オリーブオイルの抽出では加熱することなく生のオリーブの果汁を搾って作られます。

機械化が進んだ今でも、熱を加えずにオリーブオイルが作られています。
※製品によっては加熱する方法もあります。

だからこそ、香や風味の良い食用油が出来上がるのですね。

オリーブオイルの主な成分

オリーブオイルの主な成分
     
  • 「α-リノレン酸」
  • 「ポリフェノール」
  • 「トコフェノール」
  • 「オレイン酸」
  • 「リノール酸」
  • 「抗酸化物質」
  • 「ビタミンA」

バージンオリーブオイルには「ポリフェノール」「トコフェノール」「オレイン酸」「リノール酸」「α-リノレン酸」「抗酸化物質」「ビタミンA」などの成分が含まれていて、糖尿病、動脈硬化の予防や老化防止、美肌効果や新陳代謝の促進に効果があり私たちの健康のためには積極的に摂取することが理想とされています。

当時の方々は科学的にそれらの効果を知っていた訳ではなかったでしょうが、その加工のしやすさと保存性、美味しさに図らずもオリーブの恩恵を受けてきたのでしょう。

まとめ

植物の管理が苦手な方や落ち葉の掃除がちょっと面倒な方でも、木の生長と共に暮らしを楽しむことができる育てやすいのが特徴のオリーブの木です。

一年中シルバーグリーンの葉を茂らせるその木は、世界中の人に愛され続けてきたことが裏付けるように、何とも言えない魅力的な植物です。

今なお、私たちを魅了し続けるオリーブの木は、経済や食生活に欠かせない植物であり、その雄大で美しい姿からガーデナーにとってなんとも言えないない魅力があるのでしょう。

私もその魅力に取り憑かれハマってしまった一人です。
我が家でもシンボルツリーとして「アルベキーナ」という品種のオリーブの木が元気に生長してくれています。

アルベキーナの詳しい特徴はこちらの記事を参考にどうぞ。

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大分県の大分市と別府市の生花店に合わせて10年間勤め、2018年に、大分市内で「GRAINY FLOWERS(グレイニーフラワーズ)」を開業。 勤務時代は、花束、アレンジメント、店舗内装飾、生け込み、お祝い、お供え、ウエディング、プリザーブドフラワー等の実務経験を積み、フラワー装飾技能士1級の国家資格を取得。 花の技術と知識を生かし、シンプルで素直な造形で、華美な装飾を控えた作品作りを心がけています。 「贈る人も贈られる人も喜んでもらえるように」、注文を頂いてから新鮮な花を仕入れ、花束やアレンジメントを製作しお届けをする、「店舗のない花屋」というスタイルをとっています。